男と女の友情
男と女に友情は存在するのか?若い頃は、友情など存在しないと思っていましたが、この頃あるような気がします。まぁ、恋愛感情も少しはありますが…。気楽に会って映画を観たり、美術館に行ったり、食事をしたりする異性の友人がいます。知り合って、18年ぐらいかな。長い付き合いです。まぁ、年に4,5回しか会わないけど。男性と女性では、物の見方や感じ方が違うからおもしろいのかも。男と女の友情を考えたとき久世光彦が、向...
View Article可憐な風景 ~オランダ・ベルギー~ 5
アントワープを通り過ぎ4年ぶりにブリュッセルに向かった。1997年ドイツ旅行の帰りに飛行時間があったのでブリュッセルのグランパレスでコーヒーを飲んだのだった。グランパレスは、「世界で最も美しい広場」と呼ばれている。「連れ」は、さっそく世界で最もおいしいチョコと呼ばれるゴルバに直行した。我輩は、ぼんやりと豪華でいて贅沢に彫刻がすばらしいグランパレスの周りを囲む建物を見ていた。時折俄雨が降るという不順な...
View Article小さな愛の行方 9
「もし、由美さんのお父さんと判明したら会わせてしんぜよう」 「お願いします。父と会うために東京に来たんですから」 由美が、言葉を一つ一つ噛みしめながら言った。翌日隆は、純から預かった写真を黒のセカンドバックに入れ工事現場に向かった。無精髭が気にいったらしく当分の間剃らないことにした。 「よう、写真はもらってきたか」 まだコンクリートが剥き出しマンションの階段に座って隆に声をかけた。...
View Article可憐な風景 ~オランダ・ベルギー~ 6
ブリュージュ、ドイツのローテンブルクと並んで憧れていた街である。運河沿いに建つお菓子のおもちゃの様な家々。茶色にレンガ色に白にと本当にお菓子ででいた様な家が並び窓には真っ赤なゼラニウムの花。愛の泉と呼ばれる白鳥が泳ぐ湖の向こうには三角屋根の中世の色を残した建物。湖の側にある白いベンチに座って「連れ」はベルギーワッフルチョコレートつきを幸せそうな顔で食べ、我輩は、コカコーラダイエットを飲む。少し離れた...
View Article小さな愛の行方 10
「今更、どんな顔で娘と会うんだ?俺は、故郷を逃げ出したんだ。今更………」 卓袱台の上にある隆が持ってきた由美の写真を見ながら呟いた。 「血の通った親子じゃないですか。会ってやって下さいよ」 隆の言葉に高村は反応しなかった。 「出ていけ。今すぐ出ていけ」 高村が、おもいっきり酒の入ったカップを壁に向けて投げつけた。ガチャンというカップが割れる音がした。 「判ったよ。森さん、さっさと帰りましょう」...
View Article初恋の女性からの手紙
昔やった心理ゲームの結果が見つかりました。本当に初恋の女性から手紙が来たら、どきどきだろうなぁ。初恋、どこかクレパス画に似た風景かな。初恋、どこか心の支えになっていたりするんだよね。元気かなぁ。会いたいような会いたくないような。ちょっと複雑な気分。でも、この手紙うまくできているかも。...
View Article小さな愛の行方 11
「おっさん、元気で」 隆の言葉に高村はこくりと頷いた。そして隆と義行は無言で駅に向かって歩き出した。「あぁ、そうだ。高村さんが手紙をくれたよ」 義行が、バックから手紙を出して隆に渡した。手紙の宛名のところには、「由美へ」と不器用な字で書かれていた。よく見ると「由美さんへ」と最初に書いたらしく消しゴムの跡があった。 「相変わらず不器用だなぁ」...
View Article可憐な風景 ~オランダ・ベルギー~ 7
ブリュージュの街は、とにかく1枚の絵のように美しかった。船を降りると香港から来た独り旅の男と出会った。手にはゴミ袋に自分の荷物を入れて持っていた。「シャシントリマスカ」男は笑顔で近づいてきて我輩と「連れ」を写真に収めてくれた。背景は運河と石橋と赤煉瓦の家。この男は、放浪の旅をしているらしかった。背中にはリュックサック。香港からインドを経てイギリスにむかっているという事だった。年齢は20代前半。もし我...
View Article可憐な風景 ~オランダ・ベルギー~ 8
ゲントは中世の名残を残しながらも現代的な街である。フランダースの犬の舞台は、アントワープよりもゲントの方がイメージに近い。鐘楼が街の中心にあってブリュージとは違った中世の雰囲気を醸し出している。ブリュージュが童話の世界ならゲントは落ち着いた雰囲気の街である。聖バーフ教会には、「神秘の子羊」の絵があるのだがよく判らないのでパス。まぁ、ヨーロッパの教会にはいつも厳粛な気持ちにさせられるのだが、なんか権威...
View Article哀しく切ない優しさ 1
出会いは偶然。男と女の出会いというものは奇跡に近いかも知れない。隆達は、学園祭で自分達の創った映画を上映するために毎日講義を終えると映画撮影に没頭していた。内容は、男と女の出会いと別れを『奇跡』という視点で描くというものである。構想は良いのだが、何せ初めて映画づくりは、初めての集団なのでいろいろな点でてまどっていた。講義をさぼってやったアルバイト及びミニコミ誌の売り上げから捻出した60万の予算で映画...
View Article可憐な風景 ~オランダ・ベルギー~ 9
アムステルダムの風景は壮麗だ。大きな運河にオランダ風の建物、そしてゴシック建築の教会。アムステルダムにはいくつかの顔がある。ゴッホを代表とする美術文化の側面、ナチスに抵抗した反骨精神の側面、ヒッピーの拠点であった自由な側面。なんたってソフトドラッグが合法化されている国なんかないよ、本当に!!そう言えばジョンレノンが新婚旅行をしてベッドインしたのもアムステルダムだったんじゃなかったけ?とにかく午前中は...
View Article哀しく切ない優しさ 2
「講義は?」 聡が、立ち止まって隆に話しかけた。銀杏の葉がぱらぱらと落ちてくる。 「講義どころでないよ。森さんの相手の相手の女優を捜さなくちゃいけないんだ。ところで最近美恵と会っていないようだけれどうまくいっているのか?」 「それが、あまりうまくいっていないんだ。この頃見ている先が違っているような気がするんだ。」 「そうか、残念だなぁ」 「何が残念なんだ?」 「いやさ...
View Article可憐な風景 ~オランダ・ベルギー~ エピローグ
ゴッホ美術館を出て運河タクシーに乗ってアンネの隠れ家に行った。アンネの隠れ家はすごい行列だったので中にははいらなかった。第二次世界大戦中オランダは中立の立場をとってナチスに迫害を受けていたユダヤを匿った。そしてドイツ軍侵攻によって占領下になってもユダヤ人を匿った。アンネ一家もそんなユダヤ人の一家族だった。結局アンネ一家は、ナチスに捕まり収容所に送られることになった。偶然、ユダヤ人迫害をテーマにした映...
View Article哀しく切ない優しさ 3
「決まった。国際的な恋愛物語、国を越えた愛!」 隆が、水を一気に飲み、赤い民族衣装を身に纏ったタイ女性の後ろ姿を見て呟いた。 「何だよ、それ?」 聡が、煙草に火をつけて隆を見た。 「森さんの相手だよ。そして映画のテーマだよ」 「おまえ、それにしても安易だな」 聡が、呆れた顔をした。 「ご注文は決まりましたか?」 女性が、笑顔で微笑んだ。 「トム ヤム クン トウ」...
View Article混沌 ~連れとインドに~ 1
インド行きには、大きな壁があった。「連れ」の存在だった。「連れ」は、インドに対して怪しい国としか認識していないので説得に苦慮することは容易く理解できた。我が輩は、インドが宝石の宝庫であること及び宝石が安く買えることを主張し、熱くインドを語り、そして「カルマ」までもちだして、「連れ」を説得した。結局ホテルが立派でツアーならいいと妥協案をだしたのである。我が輩は、これ以上「連れ」と話し合いをしても平行線...
View Article哀しく切ない優しさ 4
翌日の夜、スケッチブックに隆、義行、聡の3人は時間通りに集まり、少し遅れてターサがやってきた。ターサは、日本に慣れていなかったので道に迷ったらしかった。純が、まだ到着していなかったが、出演女性が決まったという事で映画の打ち合わせを始めた。今、映画作成に着手したのである。 「橘、でかした!おまえは、偉い!」...
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