淡雪のクリスマスソング 3 エピローグ
ペリーおじいさんは、子供達が一目散に逃げていくと子供達が手にしているキャンドルの灯りを見ていました。灯りが見えなくなるとソファに深々と座り、ウィスキーをグラスに注ぎ一気に飲みました。...
View Article初恋の風景 1
2015年12月31日、午前8時30分東北の小さな村にある雪割小学校で、タイムカプセルが開けられることになっていました。なぜ8時30分かというと、学校の呼び鈴がなる時間だったからです。あの頃と同じ木造の小学校の緑色の屋根が雪から微かに顔を出し、大銀杏も白い帽子を被っています。春になると色とりどりの花を咲かせる花壇にたくさんの“もと子供達”が集まってきました。20年前の小学校6年生達です。...
View Articleイスタンブールからの優しい風 2
「エルトールゴウジケン ッテ シッテイマスカ。トルコノヒトタチハ ミンナ シッテイマス。コドモノトキ ガッコウ デ ナライマス。」 「知らないなぁ」 拙者は正直に言いました。 「ソウデスカ」トルコの学生は寂しそうな表情をしました。そしてエトワール事件について話してくれました。...
View Article初恋物語 2
初雪が降った日、虹の向こうからあの娘はやってきた。確かにあの日雪が舞う中大きな虹がかかっていました。隆は、転校してきた柊美雪を見てまだ知らない町の香りを感じ好きになったのです。美雪はいつも独りぼっちでした。隆もあの日をのぞいて話したことはありませんでした。...
View Article初恋物語 3 エピローグ
翌日美雪は、お別れの挨拶をして学校を去りました。名残雪が降り虹が架かっていました。隆は寂しさを感じながらちゃぼとかんぴょうとほおずきと一緒に帰りました。遊び場であるお寺の境内の前を通った時美雪が外灯の灯りに照らされて手を振っていました。隆達も手を振りました。 「柊美雪か、やっぱり覚えていないなぁ」...
View Articleあかね雲
お地藏様が立ち並ぶ 峠の中を通りすぎれば 秋桜に包まれたお寺の鐘撞き堂 寺の境内では 幼子がかんけり、かくれんぼ、おにごっこ 西陽の赤色に包まれて 想い出の中で 千代紙の切り絵が 赤とんぼのように 秋風のなかで ゆらり ゆらり 寺の境内では 子供達がかんけり、かくれんぼ、おにごっこ 薄がおおう お堂のそばで 一人の少女の蹴鞠歌 初恋の歌のように 淡く さびしい音色 寺の境内では...
View Articleクレパス画の風景 2
そして放課後草太は、分校の子供達を学校の裏にある大銀杏の木の下に集めました。 「今日から転校生と絶交するど。いいが、この規律を破ったものは、仲間外れにすっと、いいが?」 草太は、下級生を前にしてそう宣言しました。 「なんで絶好すんだ?」 正が、鼻水でてかてかになった紺の毛糸のセータの袖で鼻水を拭きながら草太を見ました。...
View Articleクレパス画の風景 3
「どうしたんだ?」 そこへ草太がやってきました。 「本校から喧嘩の挑戦状が来たんだよ」 勝一が眼鏡を直しながら草太に挑戦状を渡しながら言いました。草太は、挑戦状を怖い顔で見つめていました。 「本校なんぞ怖くないべ。受けてたつぞ。健太郎、何が紙を持ってこい」...
View Articleクレパス画の風景 4
朝の会が終わって香先生が教室を出ていくとみんな正の所に集まりました。 「遅がったじゃないか」 草太がとがめるような眼差しで正を見ました。 「んだって、本校の奴らに見づかったんだべよ。こんなものもらっただよ」 正は、ランドセルから紙切れを出した。 “猿ども、土曜日、1時に緒絶川で待っている。逃げてもいいぞ。” 紙切れに大きな字で書かれていました。 「馬鹿にしやがって。本校の奴らを退治するど」...
View Article砂糖菓子の街
夢や哀しみや出会いが 絵の具の悪戯の様に 散らばっている街並み “アビーロード”のジャケットの様な 横断歩道を渡れば 僕たちの小さな街並み 冷めた現実の風など 吹き込んではこない 赤煉瓦の喫茶店“夢人島” ギタリスト 絵描き 童話作家 詩人の 卵達でいっぱい マスターはパイプをふかし 数々の物語の主人公達を 優しい眼差しで見守っている テーブルの上は 僕たちの小さなキャンパス...
View Articleクレパス画の風景 5
川の水面が春の陽射しに揺れ、桜の花びらが待っている草原では、本校の子供達と分校の子供達がとっくみあいの喧嘩をしています。分校と本校の陣には旗が掲げてあり旗を取った方が勝ちです。満が草原に行くと大きな本校の子供の下敷きになっていた草太が満を見てにこりと笑いました。満も照れくさそうににこりと笑いました。 「本校の旗を奪うんだ!!!」...
View Article夢人島をめざして
誰もが夢に向かって小さな船を漕いでいる 夢が住んでいる夢人島に向かって 荒れ果てている海に手作りの船を出す 見送りのない港に青白い月が照らす 帆にはカシオペア座と北極星と北斗七星 月明かりに照らされた 海は穏やかで静かだけれど 嵐が吹き荒れる夜だってあるだろう 岩にぶつかって座礁することもあるだろう それでも夢の灯りを頼りに船を漕ぐのさ 早さを比べても意味などない それよりも自分の夢人島に向かって...
View Articleクレパス画の風景 6
夏 うっとうしい梅雨が終わる頃5年生の洋子ちゃんが分校に戻ってきました。洋子ちゃんは髪が長く目が大きくかわいらしい少女でした。洋子ちゃんは、分校のアイドル的存在で、洋子ちゃんが分校に戻ってきた事で分校にも活気が戻りました。後は夏休みを待つだけです。ただ気がかりなのは通信簿ぐらいでした。...
View Article心はスナフキン
高校時代、ディスクジョッキー、小説家、ミュジシャン、旅人になりたいと本気で考えていたら、担任にまじめに将来を考えろと怒られた。意外と本人はまじめに答えを出したつもりだったのだが………。結局理解されなかった。だいたい、初めて尊敬した人物がスナフキンなのだからしょうがない。ギターを持ってパイプをくわえて旅をするスナフキンはかっこよかった。本当の意味は理解できなかったがスナフキンの台詞はかっこよかった。...
View Articleクレパス画の風景 7
例年の通り終業式の草太の家出騒動で夏休みは始まりました。学期の終業式後草太は、通信簿の事で母ちゃんに怒られるのが嫌で家出をするのでした。ただ1度だけ冬山に逃げ込み遭難しかけた事もあり、その時は母ちゃんだけでなく父ちゃんにもおもいっきり怒られました。それ以来家出の先は隣り村のばぁちゃん家に逃げ込む様になりました。とにもかくにも草太が、母ちゃんに怒鳴られるという儀式が終わると夏休みが始まるのでした。...
View Article迷走 ~インドの旅~ 1
1988年夏 我が輩は、友人とインドに旅に出ることにした。理由は、やっぱりBEATLES影響からだった。デリー空港に着いたのは21時頃だったが深夜のような感じがした。空港の外に出るとリキシャや車が熱さとスパイスの混じった大気の中で揺れていた。我が輩達が通るとやたら日本語が飛び交っていた。「トモダチ」「ドコイク?ヤスイホテルシッテイル」という言葉から「トウキョウタワー タカイ...
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