儚き愛の舞
竹藪繁る細道に 秋の薄らいだ陽が幽かに揺れ お香の煙は 柑橘の芳しき香り 秋桜の花片は祇王の儚き愛の舞 嵯峨野路 恋の路 迷い道 様々な想いが日溜まりの中で ゆっくりと目を覚ます 嵯峨野時過ぎれば 石仏眠る化野の里 西院の河原の石仏の様に 愛を失って野晒しになった私の心 木枯らし吹けば 散ってゆきそうな私の心 笹の葉揺らめく静けさに 鐘の音の余韻が消えてゆく 寂寥な風景に佇む私が独り...
View Article月灯りの恋 16
第5章 さよなら かぐや姫深夜12時、修一は疲れた表情で事務所兼住まいのアパートに戻った。 「先輩、大丈夫でしたか?」 へろふみが、ソファーの上で眠そうな表情で修一を見た。「いろいろ、あったよ。ほら、これで美月さんも自由だ。美月さんの前で契約書を燃やせばいちころだよ」修一は、へろふみに美月の契約書を渡した。 「先輩、ありがとうございます!!」 「本当、この契約書取るの、大変だったよ」...
View Articleどんぐりからの手紙
秋の風が ドングリからの手紙を運んできました “入道雲さん さようなら 紅葉の皆様 よろしくです” ドングリの文字は 丸くてどこかぶきっちょな文字 でもドングリからの手紙は みんなの心をほっこりさせる ドングリは照れ屋なので 枯れ葉の陰に隠れて みんなが手紙を受け取って笑っている顔を見ています どんぐりは みんなの笑顔が大好きなのさ なぜって どんぐりは 寂しがり屋さんだから...
View Article月灯りの恋 17 エピローグ
「どうしたんですか?」「ごめんなさい。私、浩文さんの事が好きでした。愛していたかもしれません。でも交通事故で意識だったんたんですけど、昨夜、意識が戻ったんです。夫と一緒に生きていたいんです。」「それは、良かったじゃないですか。この薔薇、美月さんと旦那さんの未来のために贈ります。幸せに」へろふみの恋はあっけなく終わった。 「おじさん、もう帰るの?」香鈴が寂しそうな顔をした。...
View Article灯り を 求めて
2015年もあと僅かになりました。母の死を契機に自分の時間の過ごし方を考えさせられました。男性は、健康年齢が70歳。介護施設では、死と向き合っている人を何人も見ました。誰もが死に向かって生きているのです。だとしたら、本気で「おもしろ...
View Article雪割草の詩 1
真っ白な雪のかまくらが月灯りに照らされて蒼白く光っています。東北の山村の冬のおもちゃといえば雪です。雪で家をつくったり雪だるまをつくったり、雪はさまざまなものに形を変えます。子供達にとって雪は空からの贈り物です。かまくらの中は騒がしい様です。おおきなかまくらです。中には小学1年生のかすみと4年生の太と分校のリーダーである6年生の謙作が、雪でつくったテーブルの上でトランプをしています。この村には小さな...
View Article雪割草の詩 2
「ここで何をしているの?」 かすみは、不思議そうに白い着物を着た髪の長い女の子が立っていました。 「楽しそうだから見てたんだ」 白い着物の女の子が少しおどおどしながら答えました。 「ふーん、仲間に入るか?」 かすみが笑顔で言いました。 「仲間に入っていいの?」 「いいよ。人数が多いほど楽しいもん。名前は何ていうのさ」 「ゆき、ゆきっていうの」...
View Article未来~きっと誰かが待っている~
哀しい風景の中で 君は灯りも見失っているかもしれない 辛い時の中で 君は自分をちっぽけな存在と考えているかもしれない そんな時は 誰かが君を必要としていると考えてごらん 現在 独りぼっちでも 未来に君を必要としている誰かが現れる 物語はいつも未来に通じているんだ 途中で物語を破るのは哀しすぎる 君を必要としている人のためにも 物語を描き続けようよ 暗闇で茨の世界かもしれない...
View Article祈り
“テロリストを憎まない”と奥さんを亡くした男性が話していました。本当は、憎しみどうしようもない気持ちでいっぱいなんだけど、あえて憎まないと話していました。これは、大きなメッセージであり、未来を担う子供達への精一杯のプレゼントだと思います。...
View Article雪割草の詩 3
「何をしているんだ?」 謙作は、真っ白なテーブルに紙を広げているゆきを見て言いました。 「紙の上に雪をおくといろんな世界が浮かんでくるらしいの」 かすみが、謙作と太を見て言いました。 「フーン」 太は、半信半疑でゆきの様子を見ています。 「かすみちゃん、雪を一握り持ってきて」...
View Article腐れ縁 それとも 赤い糸 ???
「寺内貫太郎一家」の作者向田邦子さんと演出家の久世光彦さんは、非常に仲が良くお互いの家にも行っていたそうです。ところが、久世さん、向田さんに指を触れたこともないそうです。つまり男女の関係はなく、男女を超えた関係だったらしいのです。でもお互いに意識し合っていて、時々「照れてしまう」瞬間はあったらしいのですが。...
View Article雪割草の詩 エピローグ
かすみは、ゆきと一緒に学校に通えると思うと嬉しくてしょうがありませんでした。雪も溶け始め春の香りが冬の風景に紛れ込んでくるようになるとゆきはだんだんとかまくらに姿を現さなくなりました。 「ゆきのやつ、だんだんかまくらに来なくなってきたね」 謙作がポツリと言いました。 「そうだね。もう遊びに来ないんじゃないかな」...
View Article冬の夜空
いつの頃からか 時の流れの中で うつむいて歩いてきた 冷たい言葉の土砂降りの中で 冬の夜 何気なく 夜空を見上げたら 北極星が道標のように輝いていた カシオペア座 北斗七星 オリオン座 久しぶりに蒼く瞬きする星を見ていたら 君との細やかな愛を思い出した いつの頃からか ありきたりの日常の中で 君への愛を見失っていた 冬の夜 何気なく 手を握ったら 君と出会った頃を思い出した...
View Article青春の影 2
「明日、彼女と会うんだけれど一緒に会わないか」 片倉が俺のコーヒーを一気に飲み込んでいった。毎日がどこかむなしく、受験のプレッシャーから逃げたかった隆は直ぐに賛成した。隆と片倉の説得によって、気乗りのしない太田はしぶしぶだったが承知した。11月最後の日、隆達は、アメリカから来た留学生と仙台の街の中心にある勾当台公園の噴水前で会うことになった。...
View Article晩秋
今年、最期の3連休、最初の二日間は、中学校の時ビートルズの影響をもろに受けて結成したバンド「死んでれら」の仲間と一緒にセッション。演奏曲は、ビートルズ・カーペンターズ・ベイ シティ...
View Article雑草たちの笑顔
冷たい雨に打たれて 空を見上げる雑草たち 踏まれても 踏まれても 明日を信じて 空を見上げる雑草たち 頭を垂れずに 晴れる時を信じて “負けることを知っていても 時には闘わなければいけない時もある” 独り言を呟きながら歩いていたら 雑草たちと目があった 雨に打たれる雑草たちの笑顔に 心が救われた 冷たい言葉に打たれても いつか 必ず 晴れる 明日を信じている雑草たちの笑顔に 心が救われた 闘おう...
View Article青春の影 3
「俺、アイリンに本当の事を昨日電話で本当の事を言ったよ」 太田が黒ぶちのメガネを拭きながらボソボソと言った。 「本当の事って何だよ」 俺はまじまじと太田を見た。 「東北大生ではなく、予備校生だという事だよ」 太田は、コ-ヒ-を一気に飲み干してから言葉を噛み締めるように言った。 「アイリンは何て言っていた?」 「何も言っていなかった。俺、本当にアイリンの事を好きになったんだ」 「そうか…」...
View Article幸せの黄色のポスト
幸せの黄色のポストが 街にやってきたのはクリスマスイブイブの午後 青い土曜日の日にやってきた 昔 青い土曜日の午後は 日曜日よりも重要な日で 午前中で授業が終わり 放課後は青春の星屑達が 万華鏡の風景の様に弾けていた 土曜日の青春の欠片を拾い集めたら 幸せの黄色のポストになったという伝説まで生まれた 満月の夜に書いたラブレターを 黄色いポストに投函したら...
View Article青春の影 4
「そうか…」 「明日、この公園で待ち合わせしましょうか。」 由美子は、デ-トの約束をすると手を降って嫋やかなに陽射しが射す公園を後にして街に向かって歩き出した。由美子の後ろ姿がどこか寂しげに見えた。...
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